高配当株の不合理性を数字で考える
こんにちは、はや(@haya_investor)です。
私は今回のコロナショックにより約200万円の確定損失を出し、投資方針を変更しなければいけないなと思いました。
色々試していた時期もあり、高配当株を持っていますが、基本は高配当<インデックスの考え方をしてきました。
なんとなくの雰囲気だけでは高配当に目移りしたり、やっぱりインデックスが良いなと思ったり軸がぶれてしまいます。
また、現在の下落相場で高配当株の確定利益に魅力を感じる方が出てくると思います。
しかし、過去の実績を見てもインデックス>高配当で間違いはありません。
そこで今回は今後、私も皆さんも非合理的な行動によって損しないために数字を使って高配当株の不合理性を証明していきます。
反論や肯定の意見があればどんどんコメントください。
キャピタル>インカム
長期的見るとキャピタル>インカムになるのは確実です。
VTI(2020/4/15)の5年リターンと直近配当利回りを見てみると
トータルリターンが6.87%、配当利回りが1.77%となりキャピタルの方が大きくなります。
株式の累積リターンの97%は配当再投資が生み出してきた。キャピタルゲインが生み出した部分は3%に過ぎない。と書かれています。
その考え方が間違っていることをニューロンズさんのブログに記載されているので紹介させて頂きます。
この理由はキャピタルゲインについてはインフレ率を加味して実質リターンで記載しているのに対し、インカムゲインに対しては名目リターンで記載するという数字のからくりによるものでした。
キャピタルゲインは(短期的には)確実性は無いけれどリターンが大きい、配当金は短期的にも長期的にも確実に利益は出るが、リターンは小さいと考えられます。
そのため、長期で投資利益を増やすにはキャピタルゲインを多く得られるインデックスの方が優位だと考えられます。
切り崩しの優位点
切り崩しよりも配当金の方が自動で利益を得られるので心理的負担が少なく感じると思います。
しかし株式投資の利益がどのようなものか簡単に理解するだけでどちらも同義だということに気付くことができます。
そもそも株式投資で利益が出る仕組みは株式会社が利益を出したことによる価値の上昇によるものです。(将来への希望など他にもありますが割愛します。)
その利益の還元方法が自社株買い(株価の上昇)だったり配当金であるのです。
つまりは株式会社の収益が同じであれば切り崩し(売却)でも配当金でも利益金額は同じだということです。
しかし税金の点を考えると切り崩しの方が手残りが多くなります。
なぜなら切り崩しには元本が一部含まれていて、配当金には元本が含まれていないからです。
簡単にわかるように表にして見ましょう。
この場合は時価総額+確定利益が同じなのでどちらも優位性はありません。
しかしここから利益に対する税金を取り除くと
配当金の場合は2500円全てが利益になるので、手残りは
2500×0.79685=1992円になります。
切り崩しの場合は2520円のうち2400円が元本なので手残りは
2520-(2520-2400)×0.79685=2424円になります。
これだと切り崩しが有利なので株価が2倍になっている場合の計算をしてみます。
(現在の株価が105、取得単価が50とします。)
すると切り崩しの元本の金額は105-(105-50)×24=1200円
切り崩し額の2520円から元本の1200円を引いてそこから税金を引くと
2520-(2520-1200)×0.79685=2251円になります。
含み益がどんなに増えても切り崩し(売却)には必ず一部元本が含まれています。
そのため、100%利益の配当金に比べて手残りが多くなるのです。
つまり感情面を重視しないようにするだけで同じ利益でもて残りが多くなります。
今なら投資信託の定期売却制度も出来ましたし、配当金の優位性は低くなっています。
下落時の考え方
「下落時に売ると損する!!」
値上がり益を狙った投資では買値とより売値が安いと損します。
しかし「配当金投資なら大丈夫!!」と考える人がいるのはおかしいと考えています。
なぜ下落時にインデックス売却はダメで配当金は良いのでしょうか。
この直感が間違っていることを証明してきましょう。
配当金は企業が得た利益を一部を還元するので、損ではありません。
しかし出た利益を配当金で出すか株価に反映されるかの違いでしか無いのです。
それだけだとどちらも優位性がありません。
しかし考え方によっては下落時の配当金がデメリットに思えてしまうのです。
私の考え方は下落時の配当金は税金のかかる損切りのようなものだと思っています。
その配当金が無ければ株価が上昇時の元本の一部になり、値上がり益を享受しやすくなります。
配当金再投資すれば良いという意見もありますが、税金分、複利効果が減ってしまいます。
「配当金は再投資しない」「副収入が欲しい」と考えるのならインデックスを売却する方が税金も掛かりません。(利益が出ていないから)
損するのが嫌なら売却をしなければ良いだけで自動利益確定(損切り)の配当金をもらう理由はありません。
また、高配当株投資家は下落時の配当利回りが高くなったタイミングで追加投資します。
下落時に配当金を再投資するのなら不況時に副収入が欲しいという理由にはなりませんし、わざわざ税金を払ってから再投資する必要は無いはずです。
配当金投資におすすめの人は配当金は全部使う且つ売却作業が手間だと考える人だけです。(年1回インデックスを売却するだけなのでそこまで負担は無いはずですが、、)
それ以外の人はインデックス投資をする方が賢明です。
増配と減配
配当金投資は増配があるから20年後、30年後の配当利回りは10%を超えることもあるという意見もあります。
それは素晴らしいことですが、インデックス投資でも同じことが言えます。
なぜなら時価総額が増えたら定率切り崩しの金額も増えていくからです。
わかりやすいように式で表します。
時価総額10000円 定率切り崩し4% 株価上昇は年7%と仮定
1年目 10000×0.04=400円
2年目 10300(7%上昇-切り崩し4%=3%)×0.04=412円
この場合は年平均3%の増配と同じになります。
高配当株は10%以上増配する年もあるという意見に対しても反論は出来ます。
そもそも高配当個別株と市場平均を比較している時点でおかしな話です。
個別株同士だとどちらの方が優位かわかりやすくなります。
例えば2019年のAPPLEで考えたいと思います。
APPLEの2019年の株価上昇率は88%でした。
これを切り崩しで考えると増配率はこのようになります。
(株価はわかりやすいように10000で計算しています。)
10000×0.04=400
10000×上昇率88%-切り崩し4%=18400
18400×0.04=736
と84%の増配と同義になります。
減配に対しては時価総額が減ると減配と同義になります。
そこは高配当株が有利だと考えられますが、下落時にあまり切り崩さないことで上昇時の値上がり益も享受出来ますし、将来の元本も維持しやすくなります。
また下落時の高配当化は見方を変えればより多く切り崩しているのと同義です。
上昇時は少なく、下落時は多く切り崩す(配当をもらう)合理性は皆無なのでその点を自分で調整できるのも切り崩しのメリットになると思います。
しかもインデックスも高配当化しますからね。
高配当株よりも分散が効いていて、長期の平均増配率が3%、利回りを自分でコントロール出来ると考えればインデックス投資が万人に最適解だと言えると思います。
その他
他にも色々な意見があると思いますが、その意見について考えていきます。
高配当株投資は市場平均を超える
高配当株投資はインデックス投資のリターンを超える可能性があります。
そのカラクリは簡単で上昇時の配当金を再投資せずキャッシュで持っておき、下落時に再投資することで割安なタイミングで投資出来、結果的に市場平均を超えることが出来たということになります。
しかしその点と、インデックス投資の積立投資を比べるのはおかしくてインデックス投資でもタイミングを見て追加投資すれば同じ指数に投資していたとしても市場平均を超えられます。
そもそもの前提条件も違いますし、割安タイミングがわからないからインデックス投資をしているはずです。
高配当株投資をしたら割安タイミングがわかるというそんな都合のいい話はありません。
同じ前提条件ならばインデックス投資の方が優位なので高配当株投資に浮気する必要はありません。
倹約家こそインデックス
倹約して高配当株を購入し、年間配当受け取り金を増やして働く時間を減らしていく。
素晴らしい考え方です。
しかしそれは高配当株である必要はあるのでしょうか。
感情面で見ているだけでインデックス切り崩しとやっていることは同じです。
目標に早く到達するためにも税の繰り延べができるインデックス投資の方が優位です。
また、倹約家の人は言葉の通り支出が少ないです。
支出が少ない(今の労働所得で生活出来る)のに余分な課税所得を増やす理由はありません。
それならば資産の最大化を目指し、4%ルールで生活出来るようになったらFIREをすれば良いと思います。
インデックス投資のKPI
高配当株投資では年間配当金や累計配当金をKPI(目標を達成する為の過程)としており、これは減りようが無いのでモチベーション維持には最適です。
しかしインデックス投資は無配なので時価総額ぐらいしか指標はありません。
時価総額で目標達成率を見ると暴落時に目標達成率が一気に下がり投資を辞めてしまう可能性が出来てます。
そこでKPIにしてほしいのは積立元本です。
皮算用ですが年利◯%で月額◯万円積み立てれば◯◯歳で達成できると計算できます。
自分でコントロール出来るのは積立元本のみです。
目標達成のために自分が出来ることのみに集中することで将来的に目標に達成することが出来ます。
時価総額が増えなくてもキャッシュフローが増えれば良い
高配当株投資をしていて配当金さえ多ければ時価総額は増えてなくても良いという意見もあります。
そこでも高配当株投資である理由にはならないのです。
長期的に元本割れを起こしても良いのなら4%ルールの割合を5%、6%と増やしていけばキャッシュフローは増えます。
極論を言えば高金利通貨にレバレッジ1.5〜2倍程度で投資すれば年利10%程度のスワップポイントは貰えます。
高金利通貨は元本割れするから高配当株投資をしているのならば、時価総額を気にして投資をしているのと同じです。
結局、時価総額を気にして投資をするのなら期待値の一番高いインデックス投資をすれば良いだけだと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
自分自身で投資方針が変わらないように具体例を交えてインデックス投資の優位性を書いてみました。
これは間違っている!、その考え方はおかしい!など色々な意見をもらえると嬉しいです。